写真は『リンパ腫』という病気の細胞を顕微鏡で観察した様子です。
リンパ球という、血液の細胞が『がん』になってしまったものです。
犬猫では、非常に多いがんです。
発生部位によって、放射線治療や手術が適応となる場合もありますが、治療の主体は抗がん剤治療です。
通常、人間の抗がん剤を、犬猫で決められている量で使います。
飼い主様が心配される副作用については、元気・食欲旺盛でケロッとしている子、食欲が落ちて元気がなくなってしまう子、下痢嘔吐のため入院が必要となる子まで様々ですが、一般的には入院が必要になるような副作用が出る子は、1割くらいとされています。
リンパ腫で最も推奨される抗がん剤のスケジュールは約半年毎週の通院治療になります(一言にリンパ腫と言っても様々なタイプがありますが、ここでは多いものについて話します)。スケジュール通りにいくこともあれば、副作用の出方やほかの様々な理由でスケジュール通りにいかないこともあります。
大変な病気で、これだけ治療が長いとなれば、病院と飼い主様のコミュニケーションが非常に重要です。
家でどのような症状がでたら来院していただくのか、生活では何に気を付ける必要があるのか、個々の抗がん剤特有の副作用は何か、わからないことがあれば理解できるまでその都度質問していただく必要がありますし、こちらもわかりやすく説明し、質問されやすい環境づくりをしなくてはなりません。
どの病気でもそうですが、抗がん剤治療に関しては特に、病院が一方的に治療をするのではなく、動物と、飼い主様と、病院の3者がひとつになって協力し合い、相談を繰り返し、病気と闘っていく必要があります。
完治するのか?という質問をよくされますが、『リンパ腫が治った』ということに関しての正確な定義がないので名言できませんが、私が治療した子で、半年の抗がん剤治療後、無治療で4年半元気に暮らしている子はいます。そういった子が少しでも増えるように、これからも病気について深く掘り下げて考えていきたいと思います。