スマートフォンが普及して、色々なことをすぐにインターネットで調べられるようになりました。私も、使用機材の仕様や、薬剤の添付文書・インタビューフォームなど、時間があるときにすぐ見ることができてとても便利になりました。
また最近では飼い主さんからも、『ネットで調べたら、この薬の副作用に〇〇とあって心配なんだけど、飲み続けて大丈夫なの？』などと質問されることも多くなりました。
ここでインターネットの情報に関して気を付けておきたいことがいくつかあります。
１誰が書いた記事なのか
２文章に製造会社との利益関係はないのか
３根拠が明示されているのか
４根拠があるとすれば、その文献（データ）の信頼性はどのレベルなのか
などです。
獣医療の世界は、ここ10年ほどで飛躍的に進歩した感がありますが、それでもまだ
検査・薬・治療のデータは乏しく、さらにその中で十分に信頼できるデータは少ないのが現状です。
私が少し前に膵臓がん（外分泌腺のがん）の猫ちゃんを2匹診た際に、今までの報告を世界の文献で調べましたが、ごくわずかな情報しか得られませんでした。どんな治療をすると、しないグループよりもこれだけ長生きできる、というデータが欲しかったのですが、それはありませんでした。（話がそれますが、私が診たその2匹の猫ちゃんは、1匹は非常に急激な転機で亡くなってしまいましたが、もう1匹の猫ちゃんは手術後約1年生存しました。同じ膵臓がんという病理結果ではありましたが、病理組織学的にさらに細かく分類すると違いがありましたので、個々の患者さんで深く掘り下げて考えることが重要だと痛感しました。）
また、人間と動物の病気は同じようで違いますし、人間の情報をそのまま動物にあてはめることはできません。
私が一番大事だと思っているのは、個々の動物の状況を十分に把握することです。
そのうえで、活用できるデータがあれば治療に反映させています。
飼い主さんからすると、誰の言っていることが正しいかわからない、ということかもしれません。当院での診療中に疑問点がありましたら、遠慮なくご質問ください。セカンドオピニオンをご希望の方は、診療時間に受診していただければいつでも受け付けております。その際は今までの検査結果などは全てお持ちください。
当院が飼い主さんとワンちゃん猫ちゃんのお役に立てれば幸いです。
